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現在までの成果

身長と循環器疾患発症リスクとの関連

―「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果―

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部の4保健所(呼称2008年現在)管内にお住まいの40~59歳の男女15,564人の方々を、平成17年(2005年)まで約16年間追跡した調査結果にもとづいて、身長と循環器疾患発症との関連を調べた結果を論文発表しましたので紹介します。(Eur J Epidemiol 2011年26:巻13-21ページ)

循環器疾患発症リスクは身長によって異なるのか

身長は遺伝的要因に加え、幼少期や青年期における栄養、環境等の要因に影響を受けていることから、幼少期の物質的・社会的環境の代理指標としても用いられています。欧米の研究では、身長が低い人は、高い人と比べて虚血性心疾患や脳卒中の発症リスクが高いことが報告されています。しかし、これまで身長と脳卒中発症の関連を調べた報告は限られています。

今回の研究では、研究開始時に健康診断で測定された身長により4つのグループに分類し、脳卒中・虚血性心疾患の発症を比較しました。約16年間の追跡期間中に、脳卒中565人、虚血性心疾患90人の発症が確認されました。

身長の低い群ほど脳卒中発症のリスクが高い

身長が低いほど出血性ならびに梗塞性のいずれのタイプの脳卒中のリスクも高いという結果でした。最高身長グループと比べ、最低身長グループの脳卒中発症リスクは約1.6倍でした。(図1) 

身長と循環器疾患発症リスクとの関連

一方、虚血性心疾患の発症については、身長との関連は見られませんでした。
この関連を教育歴別に調べましたが、教育歴による関連の顕著な違いはみられませんでした。

今回の結果から、日本においても、欧米のように脳卒中発症リスクに身長による差が存在することが改めて示されました。低身長グループでは身体活動量が少なく、肥満、高脂血症、喫煙、飲酒量が多いという特徴があったため、そのような点に配慮した生活習慣改善の必要性も示唆されました。身長と脳卒中罹患リスクとの関連に関する説明として、遺伝的・生理学的メカニズムのほか、幼少期の栄養状態や幼少期の社会的環境等の影響が考えられます。

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