トップ >多目的コホート研究 >現在までの成果 >卵と心筋梗塞発症の関連について
リサーチニュース

JPHCに関するお問い合わせはこちら
 


 

多目的コホート研究のメールマガジン購読申込みはこちら

多目的コホート研究(JPHC Study)

卵と心筋梗塞発症の関連について

-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2005年現在)管内にお住まいだった、40~69才の男女約10万人の方々を、平成13年(2001年)末まで追跡した調査結果にもとづいて、卵摂取頻度と心筋梗塞発症率との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します。
Br J Nutr. 2006年96巻921-928ページ

今回の研究では、研究開始時に行った約50項目の食事調査を含む生活習慣に関するアンケート調査(初回調査)の結果を用いて、卵摂取頻度(ほとんど食べない、週1~2日、週3~4日、ほとんど毎日)によるグループ分けを行いました。そして、その後約10年の追跡期間に発症した心筋梗塞のリスクを、グループ間で比較しました。

分析の対象となったのは、それまでに循環器疾患にかかったことがなかったなどの条件を満たす合計約9万人(男性43,319人、女性47,416人)のデータです。追跡期間中に462人の心筋梗塞を確認しました。その約8割が男性でした。また、その内120人が亡くなりました。

卵摂取は心筋梗塞発症リスクと関連しない

卵を「ほとんど毎日食べる」グループに比べ、他の3つの、より摂取頻度の少ないグループで心筋梗塞発症リスクが低くなっているかどうかを調べました。その結果、卵を食べる回数が少ないほど心筋梗塞リスクが低くなるというわけではありませんでした(図1)。

図1 卵摂取と心筋梗塞リスク

 
むしろ、卵をほとんど食べないグループで、心筋梗塞のリスクがやや高くなっていましたが、統計学的に有意ではありません。このグループの特徴として、血清総コレステロール値の平均値が他のグループに比べて高く、また、コレステロールの多い食べ物を意図的に避けていると答えた人やコレステロールを下げる薬を飲んでいる人の頻度も多いことが挙げられます。今回の研究では、これらの条件や、喫煙、飲酒、高血圧など、心筋梗塞に関連する別の要因の影響を出来るだけとりのぞいてリスクを算出しましたが、それでも、いずれかの影響が残ったかもしれません。

血清総コレステロール値は心筋梗塞発症リスクと関連する

次に、初回調査時に健康診査データをご提供いただいた約36%の方について、血清総コレステロール値によって5グループに分け、心筋梗塞発症リスクを比べました。その結果、総コレステロール値が高いほど、心筋梗塞リスクが高くなっていました(図2)。総コレステロール値が180mg/dL未満の人に比べると240mg/dL以上の人の心筋梗塞リスクは2倍でした。

図2 血清総コレステロール値と心筋梗塞リスク

 
この研究について

血清総コレステロール値が高ければ高いほど、心筋梗塞の発症リスクが高くなることは良く知られていますが、この研究でも改めて確認することが出来ました。心筋梗塞予防という観点からは、総コレステロールを低く保つことが重要です。

一方、コレステロールを多く含む食品である卵の摂取頻度と心筋梗塞の発症リスクの間には、関連が認められませんでした。したがって、この研究では、心筋梗塞予防のために、卵の摂取を制限する根拠は得られませんでした。

これまでの日本の研究で、卵をよく食べるグループで総コレステロール値の平均値が高くなるという報告がありますが、今回の研究では、卵をほとんど毎日食べているグループで他のグループに比べ平均値が高くなっていませんでした。その理由としては、卵の摂取量の少ないグループに、もともと、健康診査などで総コレステロール値が高かったために、健康のために卵の摂取頻度を減らした人たちが少なからず含まれ、その影響が現れた可能性があります。

血清総コレステロール値は、動物性脂肪など、卵以外の食品を多く食べても上昇します。また、遺伝的な体質によっても影響を受けることがわかっています。まず、血清総コレステロール値や、最近直接測定できるようになった悪玉(LDL)コレステロール値について検査を受け、その結果に基づいて適切な指導や治療を受けることが大切です。

 

上に戻る