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現在までの成果

肺炎クラミドフィラ感染と冠動脈疾患との関連について

―「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告 ―

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部の4保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~59歳の方及び、平成5年(1993年)に茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~69歳の方にアンケートに回答していただきました。そのうち、健康診断を受診して、血液の保存に同意いただき、かつ調査開始時にがん、循環器疾患でなかった約49,000人の方々を平成16年(2004年)まで追跡して、肺炎クラミドフィラ感染と冠動脈疾患の発症との関連について調べました。その結果を専門誌に発表しましたので紹介します。(Atherosclerosis 2014年 233巻 338-342ページ

これまで、欧米での研究により、肺炎クラミドフィラ(Chlamydophila pneumonia)感染はアテローム性動脈硬化や冠動脈疾患のリスクファクターの1つとして考えられてきました。しかし、日本人を対象とした研究では、このことは明らかになっていませんでした。

 

肺炎クラミドフィラ感染により、冠動脈疾患の発症リスクが上昇

2004年末までに196人が冠動脈疾患を発症しました。そのうち、155人が心筋梗塞を発症しました。そこで、発症した人と性別、年齢、居住地域、血液採取日および採取時間をマッチさせた対照392人を選び出し、発症者と合わせた588人を対象者として、血清中の抗肺炎クラミドフィラIgG抗体及びIgA抗体を測定しました。そして、抗体量に基づいて対象者を4群に分け、各群の冠動脈疾患および心筋梗塞発症のオッズ比を算出しました。

その結果、抗肺炎クラミドフィラIgA抗体では、抗体量が最も低かった群と比較して、抗体量が高かった群では冠動脈疾患や心筋梗塞のリスクが有意に高いことがわかりました(図1)。最も低かった群と比べ、それより高い群ではそれぞれ、冠動脈疾患の発症リスクが2.03倍、2.36倍、2.29倍となりました。これらはいずれも有意でした。心筋梗塞の発症リスクは1.77倍、2.58倍、2.58倍で、こちらは上の2群が有意でした。抗肺炎クラミドフィラIgG抗体についてはこのような関連は見られませんでした(図2)。

 図1.抗肺炎クラミドフィラIgA抗体と冠動脈疾患・心筋梗塞発症の関連

 図2.抗肺炎クラミドフィラIgG抗体と冠動脈疾患・心筋梗塞発症の関連

本研究では、日本人において肺炎クラミドフィラ感染と冠動脈疾患の関連性が明らかとなりました。特に、抗肺炎クラミドフィラIgA抗体で関連が見られたことから、肺炎クラミドフィラの持続・繰り返し感染により冠動脈疾患のリスクが上昇すると考えらました。

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