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現在までの成果

B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス感染者の悪性リンパ腫リスク

-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果- 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成5年(1993年)に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の6保健所管内にお住まいだった方々のうち、40~69歳の男女約2万人を、平成22年(2010年)まで追跡した調査結果にもとづいて、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルス感染状況と悪性リンパ腫発生との関連を調べました。その研究結果を論文発表しましたので紹介します。(Cancer Epidemiology 2015年WEB先行公開)。

リンパ系腫瘍は、世界第10位のがんであり、日本では悪性リンパ腫の年齢調整罹患率は増加しています先行研究では、非ホジキンリンパ腫患者の間でB型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)感染の見られることが報告されており、リンパ系腫瘍との関連が示唆されています。そこで本研究では、HBV及びHCV感染と悪性リンパ腫リスクとの関連を検討しました。

 

研究方法の概要

多目的コホート研究の開始時(1993年から1994年まで)に生活習慣を調査するアンケートに回答していただき、健康診断時に約3割の方から血液を提供していただきました。これに該当する20,360人を追跡したところ、今回の解析対象とした2010年までに、120人に悪性リンパ腫が発生しました。

対象者の血液中のウイルス感染マーカーのうち、HBVの存在を表すHBs抗原、HBVに感染したこと、またはしている可能性を表すHBc抗体、HCVに感染したこと、またはしている可能性を表すHCV抗体を測定し、これらのウイルス感染マーカーと悪性リンパ腫との関連を検討しました。

 

HBs抗原陽性者の悪性リンパ腫リスクは非感染者に比べて高い

HBs抗原陽性群の悪性リンパ腫のリスクは陰性群に比べて2倍高く、中でも非ホジキンリンパ腫の発生リスクは陰性群の3.6倍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫発生リスクでは陰性群の7.2倍でした。

一方、HBc抗体陽性群及びHCV抗体陽性群では、悪性リンパ腫発生との関連は認められませんでした。いずれも、ウイルスの有無だけでなく過去の感染(ウイルスが排除された状態)をも表すマーカーであるため、関連がみられなかった可能性があります。

 

図1 B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルス感染マーカーと悪性リンパ腫発生リスク  

概要版218図1

性、年齢、居住地域、アルコール摂取量、喫煙の有無、BMIを統計的に調整。

 

この関連については、まだ国内外からの研究も少なく、今後、メカニズムの解明も含めてさらなる研究が必要です。

 

この研究について

この研究は前向きコホート研究であり、対象者の情報はがんの診断の前に集められたこと、精度の高い追跡率がこの研究の強みとして挙げることができます。
この研究の問題点としては、悪性リンパ腫の患者数が少なく(120人)、今回得られた結果が偶然であった可能性があります。


本研究より、HBs抗原陽性群で悪性リンパ種リスクの上昇が確認されました。この関連について、今後さらに数を増やして検討する必要があります。

 

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