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多目的コホート研究(JPHC Study)

日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患及び死亡との関連について

—「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告—

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成12年(2000年)と平成15-16年(2003-2004年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所管内にお住まいだった方々のうち、50~79歳の男女約11万人の方々を、平成23年(2011年)まで追跡した調査結果にもとづいて、日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患及びがん死亡との関連を調べました。その研究結果を論文発表しましたので紹介します(Cancer Epidemiol.2016 Feb;40:126-33)。

日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方は、心理的ストレスに対応するために重要であり、様々な健康アウトカムの危険因子であることが明らかになってきています。現在までの先行研究から、ストレスへの対処方法はがんの診断・進展やがん患者の生存率と関連があることも報告されています。そこで本研究では、日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患及び死亡との関連との関連を検討しました。

 

研究方法の概要

今回の研究対象に該当した55,130人のうち、追跡期間中に、5,241人にがんが発生し、1,632人のがん死亡が確認されました。自記式アンケートのうち、日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方に関する回答から、対処行動のパターンや対処戦略によってがん罹患及びがん死亡のリスクが何倍になるかを調べました。具体的には、日常経験する問題や出来事に対してどのように対処しているか、対処型行動として「解決する計画を立て、実行する」「誰かに相談する」「状況のプラス面を見つけ出す努力をする」、逃避型行動として「変えることができたらと空想したり願う」「自分を責め、非難する」「そのことを避けてほかのことをする」の、合計6つの行動パターンについてそれぞれの頻度を質問しました。それぞれについて多少の2群に分け、頻度の少ない群に比べた多い群のがん罹患及びがん死亡のリスクを調べました。

 

対処行動ががん死亡のリスクに影響

対処行動をパターン別にみると、対処型行動をとる人でがん死亡のリスクが低くなっていました。対処行動を個別にみた場合、「状況のプラス面を見つけ出す努力をする」人でがん死亡のリスクが低くなっていました。

 

図1. 日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん死亡との関連

 

がん罹患でみたところ、全がん罹患では有意な関連はみられませんでしたが、対処型行動をとる人では、限局性がん罹患や検診でがんが発見されるリスクが高くなっていました。

図2 日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患との関連

  

図3. 日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方と限局性がん罹患との関連

  

図4.日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方と検診によるがん発見との関連

  

この研究について

今回の結果から、日常経験する問題や出来事に対して逃避型の対処行動をせず、積極的に解決する計画を立て実行するような対処型の行動をとる人は、がんの早期発見・早期診断の確率が高まることや、積極的に情報を収集し、医療機関に相談する可能性があるため、対処型の行動を日常培うことが重要だと考えられます。

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