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現在までの成果

食事バランスガイド遵守と死亡との関連について

—「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告—

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2014年現在)管内にお住まいだった40~69歳の方々に、食事調査を含む生活習慣についてのアンケートに回答していただきました。5年後の平成7年(1995)年と平成10年(1998年)には、より詳しい食事調査を含む2回目のアンケートで、当時の生活習慣について回答していただきました。そのうち、1回目と2回目の調査時点で循環器疾患、がん、肝疾患のいずれにもかかっていなかった男女約7万9600人の方々を、2回目の調査時点から平均約15年追跡しました。これらの調査結果にもとづいて、食事バランスガイド遵守と死亡との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(British Medical Journal 2016年3月22日号)。

日本は長寿国の一つで、男女とも健康寿命は世界第1位です。その理由として、社会経済要因や国民皆保険といった医療制度のほか、日本人の食生活が挙げられます。2005年に厚生労働省・農林水産省が策定した食事バランスガイド(図1)では「何をどれだけ食べたら良いのか」について目安が示されており、これに沿って食生活を見直すことで健康寿命のさらなる延伸が期待されています。そこで、私どもは、多目的コホート研究において、食事バランスガイドの遵守度と死亡との関連について検討しました。

 

図1 食事バランスガイド  

236図1

 

 

研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、主食(ごはん、パン、麺)、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)、牛乳・乳製品、果物、総エネルギー、菓子・嗜好飲料由来のエネルギーの各摂取量を10点満点として評価し、70点満点の食事バランスガイド遵守得点を算出しました。対象者を得点によって4つのグループに分け、その後平均15年間の死亡(全死亡・がん死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡・脳血管疾患死亡)との関連を調べました。分析にあたって、年齢、性別、地域、肥満度、喫煙、身体活動、糖尿病既往歴、高血圧・脂質異常症の現病歴、職業、コーヒー・緑茶の摂取の影響をできるだけ取り除きました。

 

食事バランスガイドを遵守すると総死亡、循環器疾患死亡のリスクが低下

その結果、食事バランスガイドの遵守得点が高いほど総死亡のリスクが低下しており(図2)、遵守得点が10点増加するごとに総死亡リスクが7%減少していました。

236図2

 

死因別に検討したところ、食事バランスガイドへの遵守度の高い人ほど循環器疾患死亡、特に脳血管疾患死亡のリスクが低いことが分かりました。がんについても遵守度が高い人ほど死亡リスクが低い傾向でしたが、統計学的に意味のある違いではありませんでした(図2)。

 

今回の研究で、食事バランスガイドの遵守度が高い人ほど死亡リスクが低下しており、特に脳血管疾患の死亡リスクとの関連がはっきりしていました。諸外国における食事ガイドラインに関する研究でも、同様の結果が報告されています。循環器疾患のリスク低下との関連は、食事バランスガイドの副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)および果物の遵守得点が高い人で顕著に認められました。このことは野菜・果物の高摂取による循環器疾患のリスク低下を報告した国内外の研究と一致します。一方、脳血管疾患死亡のリスク低下は主菜(肉、魚、卵、大豆料理)の食事バランスガイド遵守得点が高い人で顕著でした。この結果は、魚や肉の摂取量が多いと脳血管疾患のリスクが低いという国内外の研究データによって支持されます。

 

本研究から、食事バランスガイドに沿った食生活している人は、総死亡や循環器疾患死亡のリスクが低いことが分かりました。食事バランスガイドに準じて、不足しがちな野菜や果物を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を心掛けることが大切といえます。

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