トップ >多目的コホート研究 >現在までの成果 >5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連

現在までの成果

5年間の野菜・果物摂取量の変化と体重変化との関連

―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―

 

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、東京都葛飾、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、大阪府吹田、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の11保健所(呼称は2019年現在)管内にお住まいで40~69歳の方々のうち、研究開始から5年後と10年後に行った食事調査アンケートに回答し、5年後調査時に慢性疾患(がん、循環器疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症)になっていなかった約5万4000人について、5年後および10年後調査による、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、5年間の体重変化との関係を調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(Eur J Nutr 2020年4月ウェブ先行公開)。

野菜・果物に含まれる食物繊維・ポリフェノール・水分などの働きにより、これらの食品を多く摂取することで、空腹感の減少、エネルギー摂取量の減少、脂質やエネルギー代謝の調整などにつながり、体重減少に作用することが期待できます。しかし、実際に、野菜や果物の摂取量を増やし、その後の体重変化をみた介入研究の報告では、結果が一致していません。また、それらの先行研究は、主に欧米で行われています。そこで、本研究では日本人において、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、体重変化との関連を調べました。

野菜・果物の摂取量は、食事調査アンケートから計算し、摂取量の計算に用いた野菜・果物の種類は以下になります。

野菜(以下の29種類)

緑色野菜(5種類:ほうれん草、春菊、ピーマン、ヨモギ、さやいんげん)
黄・赤色野菜(4種類:にんじん、かぼちゃ、トマト、トマトジュース)
アブラナ科野菜(11種類:キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、
チンゲンサイ、からし菜、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー)
ネギ類野菜(2種類:玉ねぎ、にら)
その他(7種類:きゅうりの漬物、ナスの漬物、きゅうり、レタス、もやし、ゴーヤ、
へちま)

果物(以下の17種類)

柑橘類(3種類:みかん、みかん以外の柑橘類(はっさく・いよかん・オレンジ)、100%オレンジジュース)
柑橘類以外の果物(14種類:メロン、スイカ、りんご、100%リンゴジュース、なし、もも、梅干し、かき、イチゴ、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイヤ)

 

5年間の野菜摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が25g減少していた

その結果、5年間の野菜摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が25g減少していたことがわかりました(図1)。特に、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜では、1日当たり100g増加するごとに、それぞれ74g、129gの体重減少がみられました。

図1. 5年間の間で各野菜の摂取量が1日当たり100g増加した場合の体重変化との関連

 357_1

・■が0よりも左にあるほど、5年間で体重が減少したことを示す。
・年齢、性別、地域、5年後調査におけるBMI、喫煙状況、飲酒状況、身体活動、穀類、肉類、魚介類、菓子類、いも類、大豆製品、甘味飲料、ナッツ類、果物摂取量を統計学的に調整した。

 

果物摂取量が減少しても果物摂取量と体重との関係はみられないが、果物摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が70g増加していた

野菜とは異なり、5年間の果物摂取量の変化が体重に与える影響は、減少と増加で異なりました。5年間の間に果物摂取量が増加したグループでは、果物の摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が70g増加していたことがわかりました(図2)。しかし、果物摂取量が減少したグループでは、体重との関連はみられませんでした。

図2. 5年間の果物摂取量の変化と体重変化

 357_2

・■が0よりも右にあるほど、5年間で体重が増加したことを示す。
・年齢、性別、地域、5年後調査におけるBMI、喫煙状況、飲酒状況、身体活動、穀類、肉類、魚介類、菓子類、いも類、大豆製品、甘味飲料、ナッツ類、野菜摂取量を統計学的に調整した。

 

今回の結果から

今回の研究では、5年間の野菜摂取量の増減は体重の増減と関係がありましたが、果物では摂取量が増加したグループでのみ体重増加と関係がみられました。この理由の一つとして、野菜は食事と一緒に摂取するため、野菜の摂取量が多いと、ご飯やおかずの摂取量が減り全体のエネルギー摂取量が減るという、全体のエネルギー摂取量の増減と関係しやすい可能性が考えられます。一方、果物は間食として食べるため、全体のエネルギー摂取量の増加に関与するのではないかと考えられます。果物の摂取量が減少したグループと体重減少との関連がみられなかった明らかな理由はわかっていません。

今回の研究では、食事調査アンケートから摂取量を推計していること、体重が本人の自己申告であること、また体重の変化に影響を与える他の食品や生活習慣に関係する要因の影響を全て除ききれないことなどの研究の限界があります。

上に戻る