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多目的コホート研究(JPHC Study)

2008/3/7 血中イソフラボンと乳がん

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、血中 のイソフラボン濃度(2種類:ゲニステインとダイゼイン)と乳が んとの関連を調べた結果が発表されました。

ゲニステイン濃度が高いと乳がんリスク低

い 多目的コホート研究では、豆腐や味噌汁、大豆製品などをとる回 数からイソフラボンの摂取量を算出し、それが多い女性で乳がんリ スクが低いことがわかりました。特に閉経後女性では、乳がんのリ スクは最大7割ほど抑えられました(2003年に発表)。 今回の研究では、イソフラボン摂取量の差を正確に把握して分析 を行うために、調査開始時期の保存血液を用いて2種類のイソフラ ボン(ゲニステインとダイゼイン)の濃度を直接測定し、追跡期間 中に発生した乳がん144例と乳がんにならなかった対照グループ288 例の合計432人の女性を対象に、イソフラボン濃度による乳がんリ スクを比較しました。 これは、大豆製品をよくとる習慣のある日本人集団では初めての 試みで、血中濃度が高いグループがあるのが特徴です。 その結果、ゲニステインの濃度が高いグループほど乳がんリスク が低いという傾向がみられました。ゲニステイン濃度が最も高いグ ループ(中央値353.9ng/mL)の乳がんリスクは、最も低いグループ (中央値31.9ng/mL)の約1/3(0.34倍)でした。一方、ダイゼイン では同様の関連は見られませんでした。

閉経状態で異なるか?

さらに、研究開始時の閉経状態別に調べました。すると、閉経前 の女性では、ゲニステイン濃度の最も高いグループの乳がんリスク は最も低いグループの0.14倍と低いことがわかりました。閉経後の 女性でも傾向は同じ(0.36倍)ものの、統計的に有意というわけで はありませんでした。

研究結果について

今回の研究で、血中イソフラボンのうちゲニステイン濃度が低い 女性では乳がんリスクが低いという可能性が示されました。ダイゼ インについては、代謝能力の個人差が摂取量と血中濃度に影響した ことなどが考えられますが、関連はみられませんでした。 イソフラボンのとり過ぎで乳がんリスクが高くなるのではないか と懸念されていますが、食事からとる範囲では少なくともそのよう な心配はいらないのではないかという結果でした。サプリメント摂 取について、また食事として大豆製品をどの時期にどれくらいとる と良いのかということについては、この研究からは明らかになって いませんので、今後の研究が期待されます。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
血中イソフラボン濃度と乳がん罹患との関係について -概要-

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