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多目的コホート研究(JPHC Study)

2008/7/17 血中のカロテノイドと胃がん罹患

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、血漿中のカロテノイドなど抗酸化物質の値と胃がん発生率の関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。   Carcinogenesis 2008年29巻1042-8頁

男性ではベータ・カロテン濃度が高いと胃がんリスクが低い
女性ではベータ・カロテン濃度によって変わらず

野菜や果物にはカロテノイドなどの抗酸化物質が多く含まれ、胃がんに対して予防的に働くのではないかと考えられます。 そこで、1990年から95年の間に提供していただいたJPHC研究の保存血液を用いて、2004年末までの追跡期間中に発生した胃がん511例と胃がんにならなかった対照グループ511例で、血漿中のカロテノイド(ベータ・クリプトキサンチン、アルファ・カロテン、ベータ・カロテン、ルテイン/ゼアキサンチン、リコペン)、レチノール、アルファ・トコフェロール、ガンマ・トコフェロール濃度について比較しました。 その結果、男女合計では、ベータ・カロテン濃度が高かったグループで胃がんリスクが低いことがわかりました。濃度の最も低かったグループに比べ、他の3つのグループの胃がんリスクはほぼ半分に抑えられていました。男女別に調べると、各グループのベータ・カロテンの平均濃度は女性に比べて男性で低く、そのためか男性では濃度が高かったグループほどリスクが低いという傾向が認められましたが、女性では濃度が高かったグループでもリスクが下がりませんでした。 次に、男性で、研究開始時点の喫煙状態別に、抗酸化物質の血漿濃度と胃がんリスクの関係を調べました。すると、喫煙者でも非喫煙者でも、ベータ・カロテンの濃度が高かったグループでリスクが低いという傾向が認められました。

研究結果について

2007年の世界がん研究基金/米国がん研究財団(WCRF/AICR)の報告書では、ベータ・カロテンのサプリメントが肺がんのリスクを上げることは確実と評価されました。一方、食物からとるベータ・カロテンやその他の抗酸化物質は、いくつかのがんのリスクを下げる可能性が大きいとされています。 今回の結果は、抗酸化物質は不足しているとがんのリスクとなるものの、多くとればとるほどがんのリスクが下がるわけではないことを、改めて明らかにしました。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
血中のカロテノイドと胃がん罹患との関係について —概要—

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