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多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/8/1 血漿ビタミンDマーカー、コーヒー摂取、葉酸・ビタミンB摂取と大腸がんについて

多目的コホート(JPHC)研究から、血漿ビタミンDマーカー、コーヒー摂取、葉酸・ビタミンB摂取と大腸がんに関する3つの研究成果が発表されました。各論文の状況と担当研究者は以下の通りです。 ・血漿ビタミンDマーカーと大腸がんリスク (British Journal of Cancer, WEB先行公開)    担当:大谷哲也・群馬大学大学院医学系研究科生態情報学(公衆衛生学)助手 ・コーヒー摂取と大腸がんリスク (International Journal of Cancer WEB先行公開)    担当:井上真奈美・国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部室長 ・葉酸・ビタミンB摂取と大腸がんリスク (Journal of Nutrition 137巻2007年 7月号)    担当:石原淳子・国立がん研究センターがん予防・検診研究センターリサーチレジデント

血中ビタミンD濃度が低い人で、直腸がんリスクが高い可能性

JPHC研究の保存血液を用いて、11年半の追跡期間中に発生した大腸がん375例と大腸がんにならなかった対照グループ750例で、普段の体内のビタミンDの状態を示す「血漿25-水酸化ビタミンD濃度」について比較しました。 大腸がんの危険(リスク)については男女とも関連がみられませんでした。部位別に比べると、直腸がんリスクは男女ともビタミンD濃度が最も低いグループで、他のグループよりも高いことがわかりました。 ビタミンDは、食事からの摂取だけでなく、日光(UV-B)による皮膚反応で合成されます。適度に日光を浴びることが、直腸がんの予防につながるかもしれません。ただし紫外線は浴びすぎると皮膚がんのリスクになることが指摘されています。

コーヒーが女性の浸潤結腸がんを予防する可能性

JPHC研究で、約9万6000人のコーヒー摂取について調べ、その後の大腸がんとの関連を調べました。10年半の追跡期間に大腸がん1163例が発生しました。 女性ではコーヒーを飲む量が多いほど浸潤結腸がんリスクが低いという傾向がみられ、ほとんど飲まないグループに比べ、1日に3杯以上飲むグループでリスクが56%低いことがわかりました。 男性では、コーヒーによる同様の予防効果は見られませんでしたが、その理由として男性では喫煙と飲酒の大腸がんへの影響が強いことがまず考えられます。

ビタミンB-6で飲酒者の大腸がん予防の可能性

JPHC研究参加者のうち、45—74歳の男女約8万人を対象に、大腸がんの発生について約6年追跡調査を行いました。その間に男性335人、女性191人が大腸がんになりました。年齢や喫煙、肥満などによる影響を取り除き、それぞれの栄養素の摂取量で4つのグループに分けて男女別に分析したところ、男性でビタミンB-6 摂取最少グループに比べ、それ以上の3つのグループ大腸がんリスクが30%-40%低くなりました。女性では、どの栄養素でも関連が見られませんでした。 次に、飲酒量で2つのグループに分けて調べたところ、ビタミンB-6摂取最少グループでは、飲酒量の多い人で飲まないあるいは少ない人に比べ大腸がんリスクが約2倍高くなりました。 飲酒習慣のある男性では特に、ビタミンB-6を多く含む食品を積極的に摂取することが、大腸がんの予防につながる可能性があります。

研究結果について

詳しくは、概要版をご覧ください。
ビタミンDと大腸がん罹患との関係について -概要- 
コーヒー摂取と大腸がんとの関連について -概要- 
葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニン摂取と大腸がん罹患との関連について -概要-

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