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多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/2/21 体格と乳がんリスク

多目的コホート(JPHC)研究から、女性の体格と乳がんリスクの関係を調べた結果が発表されました。(「アナルズ・オブ・エピデミオロジー」2006年12月WEB先行公開) この研究の母体となる多目的コホート研究では、全国約14万人を対象に、1990 から94年に食事を含む生活習慣要因などについて調査し、その後の長期追跡期間に観察されたがんや心筋梗塞等との関連を前向きに調べています。 今回の研究では、40から69歳までの女性約5万4千人を、調査データから閉経前と閉経後に分け、身長や肥満指数(体重kg ÷身長m ÷身長m)でそれぞれグループ分けし、その後の乳がん発生リスクを比較しました。 さらに、乳がんのエストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体についてデータがあるものは、その状態によって、体格の影響がどう変わるかを調べました。

肥満指数と乳がん

肥満指数(BMI)については、閉経後の女性で、値が大きいほど乳がんリスクが高くなりました。BMIが30以上の肥満グループの乳がんリスクは、19未満のやせグループに比べ2.3倍高くなっていました。閉経前の女性では、BMIとの関連はみられませんでした。

身長と乳がん

身長については、閉経の前後に関わらず、背が高い女性ほど乳がんになりやすいという結果でした。身長160cm以上のグループの乳がんリスクは、148cm以下のグループに比べ、閉経前で1.5倍、閉経後で2.4倍高くなっていました。

ホルモン受容体ごとの乳がんリスク

エストロゲン受容体(ER)のデータがある方について、(+) (-)によるグループ分けをして、グループことに肥満指数(BMI)と身長の影響を調べました。閉経前の女性では、ER(+)と(-)でBMIや身長によるリスクに差がみられませんでした。閉経後の女性では、BMIはER(+)乳がんのリスクに影響しましたが、ER(-)乳がんには影響しませんでした。

研究結果について

今回の研究で解析を担当した岩崎基(もとき)・国立がん研究センター予防研究部室長によれば、肥満指数(BMI)が閉経後女性の乳がんリスクと関連するという結果は、これまでの多くの研究結果と同じです。閉経後は体脂肪によって血中のエストロゲン濃度が高くなるというメカニズムで説明されます。 身長が高い人で乳がんが多いという結果は、アジアでは初めてですが、欧米の研究結果と一致しています。今回の研究は、アジアではこれまでで最大規模のものですが、ホルモン受容体別に乳がんリスクを見極めるには、さらに規模や期間を拡大し、それぞれのグループの数を増やして研究を行う必要があります。 詳しくは、概要版をご覧ください。

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