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多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/2/21 生理・生殖要因と乳がんリスク

多目的コホート(JPHC)研究から、女性の生理・生殖要因と乳がんリスクの関係を調べた結果が発表されました。(「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー・プリベンション」2006年2月15日発行)。 この研究の母体となる多目的コホート研究では、全国約14万人を対象に、1990 から94年に食事を含む生活習慣要因などについて調査し、その後の長期追跡期間に観察されたがんや心筋梗塞等との関連を前向きに調べています。今回の研究では、40から69歳までの女性約5万5千人を、初回調査データからまず閉経前と閉経後に分け、次に初潮・閉経年齢、出産回数、初産年齢、女性ホルモン剤の使用や母乳育児の有無でそれぞれグループ分けし、その後の乳がん発生リスクを比較しました。

初潮・閉経年齢と乳がん

閉経前女性で、初潮年齢が高くなるほど乳がんのリスクが低くなりました。閉経後女性では、初潮年齢との関連がみられませんでした。 自然に閉経を迎えた女性の閉経年齢については、遅いグループで乳がんリスクが高くなりました。

出産回数と乳がん

出産したことがないグループの乳がんリスクは、出産したことがあるグループに比べ、乳がんリスクが高くなりました。出産回数については、閉経前・後とも、回数の多いグループで低く抑えられていました。

初産年齢と乳がん

閉経後女性では、初産年齢が高くなるほど乳がんリスクが高くなりました。閉経前女性では、関連がみられませんでした。

その他

女性ホルモン剤を避妊や月経困難、閉経期などに服用したことがあるグループとないグループで乳がんリスクを比べましたが、差はみられませんでした。  また、出産した方が母乳を与えたかどうかでも乳がんリスクを比べましたが、差はみられませんでした。

研究結果について

これまで、欧米の研究から、初潮年齢、閉経年齢、出産に関連する諸要因と乳がんのリスクとの関連が示されていました。今回の研究で、欧米に比べ比較的乳がんリスクが低い日本人女性の間でも、同様のリスク要因がみられました。 今回の研究で解析を担当した岩崎基(もとき)・国立がん研究センター予防研究部室長によれば、このようなリスク要因については、コントロールできるものではありませんが、日本で乳がんが増加傾向にある原因の一部となっているのかもしれません。 生理・生殖要因について、乳がんリスクが高いグループに入る方に対しては、特に、乳がん検診の定期的な受診が勧められます。 また、今後の研究課題として、乳がんの危険要因について、今回得られたリスクの大きさやこれまでのエビデンスを考慮して、女性ひとりひとりについて、乳がんリスクのスコアが算出できるようなシステムの開発につなげたい、と話しています。 詳しくは、概要版をご覧ください。

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