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多目的コホート研究(JPHC Study)

2013/07/05 食事からのヒ素摂取量とがん罹患との関連について


JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、食事からのヒ素摂取とがんとの関連を検討した研究の結果が発表されました。

この論文の状況は以下のとおりです。
Cancer Causes Control 2013年24巻 1403-15ページ

 

ヒ素摂取は男性喫煙者の肺がんのリスク

多目的コホート研究で、アンケート調査から食事からの総ヒ素および無機ヒ素摂取量を推定し、がんリスクとの関連を調べました。男性42029人、女性48349人、合計90378人が本研究の対象になり、約11年の追跡期間中に、男性4323人、女性2679人、合計7002人が何らかのがんに罹患しました。

分析の結果、総ヒ素摂取量と全がんリスクとの関連は見られませんでした。各部位別がんリスクについても調べたところ、肺がんリスクについて、男性では喫煙者で総ヒ素・無機ヒ素ともに肺がんリスクの上昇、非喫煙者では肺がんリスクの低下という喫煙状況により異なる関連が認められました。

女性では非喫煙者で無機ヒ素摂取量と肺がんに正の関連がみられましたが、参加者の一部で一定期間に実際に食べた食品をすべて記録する方法で調べた食事記録から算出された摂取量の相関(妥当性)が0.19と低かったこともあり、因果関係ではない見かけ上の関連であった可能性も考えられます。

無機ヒ素摂取量の寄与食品は、大きい順から、ひじき50%、米類35%、海藻類5%、魚介類4%、野菜類3%、果物類2%であり、無機ヒ素摂取量の寄与割合が大きかったひじき摂取量と肺がんとの関連についても解析しました。喫煙男性で肺がんとやや正の関連はみられましたが、統計学的に有意ではありませんでした。

これまでに、汚染された井戸水などから高用量のヒ素を摂取すると肺がんのリスクが上がることはわかっていましたが、今回の研究により、日常の食事から摂取するレベルにおいても影響がある可能性が示唆されました。

但し、今回の研究は、食事からのヒ素摂取と肺がんとの関連について、初めて報告された1つのエビデンスにすぎません。ヒ素の多い食品の摂取制限など、個人や社会としてのリスク管理のためには、他の集団による検証など、今後の研究によるエビデンスをさらに蓄積した上で、総合的なリスク評価をすることが必要な段階です。

肺がんは、喫煙との関連が強く、今回の研究においても男性では喫煙者においてのみ、ヒ素との関連が示されているので、肺がんを予防するためには、まずは禁煙をすることです。


詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
食事からのヒ素摂取量とがん罹患との関連について

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