多目的コホート研究(JPHC Study)
2010/3/23 中年期での体重変化と死亡リスクについて
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、中年期での体重変化と死亡リスクとの関連を調べた研究の結果が発表されました。
この論文の状況は以下のとおりです。
International Journal of Obesity 2010年 34巻 348-356ページ。
中年期での大幅な体重の減少・増加、どちらも死亡リスク上昇
肥満と高血圧や糖尿病、心筋梗塞や一部のがんとの関連が知られ、世界的に注目されています。これまでに、肥満指数が小さくても大きくても、死亡リスクが高くなるという関連があるという報告が多数あります。
多目的コホート研究からは、肥満指数と死亡の関連(2002)、20歳時から中年期での体重変化と死亡の関連(2009)について、やせすぎていることや、体重減少の影響を報告しました。
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今回は、同じ日本人集団を対象に、中年期に入ってからの体重変化とその後の死亡との関連について検討しました。その結果、中年期での大幅な体重の減少・増加ともにその後の死亡リスクの上昇に関連していることがわかりました。特に体重減少に伴うリスク上昇が顕著に見られました。
この論文の要旨
□ 対象者は全国の11保健所管内在住であった45-74歳の男性36220人、女約44091人、合計80311人。
□ ベースライン調査と5年後調査の体重データを使用。
□ 観察人年:699,963人年(追跡期間平均8.7年)。
□ 4232人の死亡(うち1872人のがん死亡、1021人の循環器死亡)を確認。
□ 男女別に、体重の増減が2.4kg以下のグループを基準として、体重増または減がそれぞれ2.5kg-4.9kg、5kg以上の5つのグループで死亡リスクを比較。
□ 年齢、地域、肥満指数、喫煙状況、飲酒状況、運動習慣、高血圧歴、糖尿病歴を調整。追跡開始から3年後までの死亡を除外した主な結果を以下に示す。
● 基準グループに比べ、5kg以上減のグループで男性1.4倍、女性1.7倍総死亡リスク上昇(統計学的有意)。
● 基準グループに比べ、5kg以上増のグループで男性1.3倍、女性1.3倍総死亡リスク上昇(統計学的有意)。
● 基準グループに比べ、5kg以上減のグループで男性1.5倍、女性1.5倍がん死亡リスク上昇(統計学的有意)。
● 基準グループに比べ、5kg以上増のグループで女性1.9倍循環器死亡リスク上昇(統計学的有意)。
□ 体重減少の理由については、今回の調査では明らかではない。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
中年期における体重変化と死亡率との関連について