多目的コホート研究(JPHC Study)
2009/9/30 生活を楽しんでいるという意識と循環器疾患発症・死亡
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、生活を楽しんでいるという意識と循環器疾患との関連を調べた研究の結果が発表されました。
論文の状況は以下の通りです。
Circulation 2009年120巻956-963ページ
男性で、生活を楽しんでいる意識が高いグループで、循環器疾患発症・死亡リスクが低い
これまでの研究には、ネガティブな心理要因が虚血性心疾患のリスクを高めるという報告は多数ありますが、うれしい、楽しい、面白いなどポジティブな心理要因についての報告はまだ多くはありません。
多目的コホートで、生活を楽しんでいる意識が高いグループで、循環器疾患発症・死亡リスクを検討しました。
40~69歳の男女約9万人を、研究開始時に実施したアンケート調査結果から、生活を楽しんでいる意識が高い、中程度、低いの3つのグループに分けました。
約12年間追跡期間中に、3523人の循環器疾患の発症と1860人の循環器疾患による死亡を確認しました。
関連を分析した結果、男性では、生活を楽しんでいる意識が高いグループに比べ、低いグループで循環器疾患の発症リスクが20%程度、死亡リスクが60%程度高いことがわかりました。
女性では、生活を楽しんでいる意識による差は見られませんでした。
研究の結果について
特に男性の死亡リスクが高くなった理由の1つに、調査開始時点で病気のために気持ちが沈んで生活を楽しいと感じなかったという人がいた影響も考えられます。その影響の大きさを調べるために、1年目まで、2年目まで...6年目までの死亡を除いて検討しましたが、結果はそれほど変わりませんでした。
やはり、男性では心理的な要因によって、循環器疾患による死亡リスクが異なる可能性が大きいと考えられます。
女性では、ストレスへの対処法や影響が男性と異なるのではないかという報告があります。男女差については、今後さらに研究が進められる必要があるでしょう。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
生活を楽しんでいる意識と循環器疾患 ―概要―