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多目的コホート研究(JPHC Study)

2008/4/16 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんリスク

JPHC研究からの論文発表のお知らせ

多目的コホート(JPHC)研究から、乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんリスクとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。     Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008年 17巻930-937ページ

乳製品をよく摂取するグループで前立腺がんリスク高

多目的コホート研究の5年後調査による食事頻度調査票を用いて乳製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトの摂取量を算出し、4つのグループに分けました。 男性約4万3000人のうち、約7年半の追跡期間中に329人が前立腺がんと診断されました。 どの乳製品についても、摂取量が多いグループほど前立腺がんリスクが高い傾向が確認されました。最も少ないグループに比べ、最も多いグループのリスクは 1.5倍から1.6倍でした。前立腺がんの進行度別に調べても、同様の結果でした。

カルシウムか、飽和脂肪酸か

乳製品は、日本人男性にとってカルシウムや飽和脂肪酸の主な摂取源となっています。そこで、カルシウムと飽和脂肪酸のそれぞれの摂取量でグループ分けして前立腺がんリスクを比較すると、どちらでも、最も多いグループでやや高いようでした。 さらに飽和脂肪酸の種類別に見ると、ミリスチン酸とパルミチン酸の摂取量が増えるほどリスクが高いという結果でした。

研究結果について

世界がん研究基金と米国がん研究協会[World Cancer Research Fund(WCRF) / American Institute for Cancer Research(AICR): http://www.dietandcancerreport.org/?p=homeの報告(2007)によると、カルシウムが前立腺がんリスクを上げる可能性が大きいと評価されていますが、その根拠は乳製品の摂取量が多い欧米での研究が中心です。 今回の研究で、日本人でも乳製品と前立腺がんリスクに関連が見られ、カルシウムよりはむしろ飽和脂肪酸との関連が強いようでしたが、どちらが影響しているのかは結論づけられませんでした。 乳製品のメリットとして骨粗鬆症、高血圧、大腸がんなどの疾患に予防的という報告が多数あり、一概に乳製品を控えたほうが良いとは現時点では言えません。今後、その利益と不利益のバランスを明らかにするような研究が期待されます。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について -概要-

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