多目的コホート研究(JPHC Study)
2008/6/4 身体活動量と死亡リスク
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、身体活動量と死亡リスクとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 Annals of Epidemiology 2008 5月WEB先行公開
身体活動量の多い人で、死亡の危険性が低い
これまでに、運動の健康影響を調べた疫学研究によって、死亡や循環器系疾患、いくつかの部位のがんへの運動の予防効果が示されています。しかしながら、その運動量は主に仕事や余暇の運動、あるいは歩行時間などによって評価されていて、総合的な身体活動量を採用した研究は少なく、ほとんどが欧米からの報告です。 今回、多目的コホート研究で、45—74歳の男女性約8万3000人を対象に、生活習慣に関するアンケートで、普段の身体活動と、仕事や余暇の運動の状況を調べました。その回答から平均的な1日当たりの身体活動量(METs)を算出し、それによって4つのグループに分けました。約9年かけて死亡を追跡調査し、グループ間でそのリスクを比較しました。 追跡期間中に4564人の死亡が確認されました。 男女とも、身体活動量が多いグループほど、死亡リスクが低いことがわかりました。4つのうち最も活動量が多いグループでは、最少グループに比べ、男性で 0.73倍、女性で0.61倍でした。 その傾向は、年齢や余暇の運動の頻度で分けても、また追跡から3年目までの死亡を除いても、同様でした。 死因別には男女とも身体活動量が多いグループでがん死亡が低下し、男性では心疾患でも低下が見られました。女性では心疾患・脳血管疾患については統計的優位性がないものの、死亡リスクの低下傾向が見られました。
研究結果について
今回の研究では、年齢層や仕事・余暇に関わらず、全体的に身体活動量が多いことで、死亡リスクが低下する傾向がみられました。日常生活の中でよく動く時間を増やしていくことが健康につながり、早死にを予防すると考えられます。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
・身体活動量と死亡との関連について -概要-