多目的コホート研究(JPHC Study)
2008/6/26 カルシウムと腰椎骨折
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、カルシウムと腰椎骨折リスクとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 British Journal of Nutrition 2008年6月WEB先行公開
女性でカルシウム摂取が少ないと腰椎骨折をおこしやすい
日本人は欧米人よりも腰椎骨折の発症率が高いことが知られており、腰椎骨折の予防は重要です。カルシウムは骨にとって重要ですが、日本人は欧米人に比べカルシウムの摂取量が少ないことから、低カルシウム摂取と骨粗しょう症との関連が示唆されています。しかしながら、日本人のカルシウムの摂取不足がどれくらい腰椎骨折に影響しているのか、よくわかっていませんでした。 今回、多目的コホート研究で、40—69歳の男女性約7万6000人を対象に、食習慣を含む生活習慣に関するアンケートを行い、カルシウムの摂取量を算出しました。それによって4つのグループに分け、10年後のアンケート調査で自己申告していただいた腰部の骨折について、グループ間でそのリスクを比較しました。 364人に(交通事故などによる骨折を除いた)腰椎骨折の自己申告がありました。 その結果、女性では、カルシウム摂取量の最も少ないグループの腰椎骨折の発生リスクは、最も多いグループの約2.1倍で、摂取量が少なければ少ないほど、骨折の発生リスクが高くなるという傾向がみられました。一方、男性では関連がみられませんでした。
研究結果について
分析を担当した中村和利・新潟大学大学院医歯学総合研究科准教授によれば、当時の国民健康・栄養調査から推定すると、カルシウム摂取量が一日350mgに満たない女性は、700mg/日以上の女性より2倍腰椎骨折を起こしやすいと考えられます。カルシウム不足気味の女性は、腰椎骨折予防のためにカルシウムの豊富な食品を増やすことが勧められます。 また、男性については今回関連が見られませんでしたが、より高齢のグループでの検討が必要になるでしょう。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
カルシウム摂取量と腰椎骨折との関連について -概要-