多目的コホート研究(JPHC Study)
2007/12/12 受動喫煙と肺がん
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、夫の喫煙とたばこを吸わない女性の肺がんとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 International Journal of Cancer 2008年2月号(07年12月発行) (122巻 653-657頁)
夫からの受動喫煙で、たばこを吸わない女性の肺腺がんリスク増
JPHC研究参加者のうち、研究開始時に40—69歳で、妻がたばこを吸わない約2 万8000組の夫婦を対象に、夫の喫煙状況と、妻の家庭以外での受動喫煙についての質問にお答えいただきました。 その後約13年の追跡期間中に、109人の女性に肺がんの発生が確認されました。夫の喫煙状況により、たばこを吸わない女性の肺がんリスクがどう変わるのかを調べました。 その結果、肺がん全体では統計学的に有意な差は見られませんでした。部位別には、全体の8割を占める肺腺がんで、夫が喫煙していないグループに比べ、喫煙しているグループのリスクが約2倍高いことがわかりました。 また、肺腺がんリスクは、夫の喫煙本数が多いグループほど高く、さらに、受動喫煙の機会が多いほど高いことが示されました。
たばこを吸わない女性の肺腺がんの37%は、夫からの受動喫煙による
今回の研究結果から、夫の受動喫煙の影響の大きさを推定してみました。もし夫からの受動喫煙がなかったとすると、肺腺がんの37%は予防できたはずという結果でした。
研究結果について
今回の研究では、非喫煙者に多い肺腺がんと、家庭での受動喫煙との関連が明らかになりました。 現時点で肺がんの予防に最も有効なのは喫煙をしないことですが、他人のたばこの煙を吸う機会もできるだけ避けるのが望ましいでしょう。 詳しくは、概要版をご覧ください。
受動喫煙とたばこを吸わない女性の肺がんとの関連について -概要-