トップ >多目的コホート研究 >リサーチニュース >2007 リサーチニュース >2007/4/6 飲酒パターンと寿命前の死亡について
リサーチニュース

JPHCに関するお問い合わせはこちら
 


 

多目的コホート研究のメールマガジン購読申込みはこちら

多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/4/6 飲酒パターンと寿命前の死亡について

多目的コホート(JPHC)研究から、飲酒パターンにスポットをあてた研究成果が、3月に発表されました。 同程度の飲酒者では、お酒を飲まない「休肝日」がある場合とない場合で、寿命前の死亡のリスクがどう変わるのかを調べた研究です。

飲み方による飲酒の健康影響を調査

多目的コホート研究では、これまでに、日本人男性で、1日当たり平均一合(日本酒換算)を超える飲酒で、総死亡、がん、全脳卒中、自殺のリスクが高くなることを報告しました。いずれも調査時点での対象者の年齢が日本人の平均寿命前であることから、お酒は飲んでも一日当たり日本酒換算で1合までが適量であり、それ以上の飲酒習慣はさまざまな疾患や寿命前の死亡の原因となっていると考えられます。 では、同程度の飲酒でも、飲み方によって健康への影響は変わるのでしょうか。

休肝日を設けること、飲み過ぎないこと、どちらも大切

1990年と1993年に、日本全国の9保健所管轄区域にお住まいの40-69歳の男性に対し、飲酒に関するアンケート調査を行い、1週間あたりのエタノール摂取量を算出しました。 今回の分析の対象となった男性は約4万2000人、そのうち飲酒する方が約3万 2000人、そのうち週に3日以上休肝日がある方が4割、ない(週に5-7日飲む)方が6割でした。 2003年までに、約3900人の死亡が確認されました。 週に3日以上休肝日がある飲酒パターンに比べ、ない飲酒パターンで、<エタノール換算で週に300g以上>から、総死亡率が高くなりました。 週1-2日、週3-4日、週5-7日の3つの飲酒パターンで、同程度の飲酒量での総死亡のリスクを比べると、週に1-2日のパターンに比べ、5-7日のパターンで、<エタノール換算で週に300g-449g>の飲酒グループでは1.5倍、<エタノール換算で週に450g以上>の飲酒グループでは1.8倍、高くなりました。 <日本酒一合(180ml)は、エタノール約23gで、焼酎(25度)0.6合、泡盛(30度)0.5合、ビール大瓶(633ml)1本、ワイングラス(100ml)2杯、ウイスキーダブル(60ml)1杯にほぼ相当> ただし、休肝日さえあればたくさん飲んでよいというわけではありません。飲酒量が極端に多いグループでは、休肝日の影響はなくなりました。 今回の結果からは、ほとんど毎日飲む人が、休肝日を設ける代わりに、1回当たりの量を増やしても良いことを示すものではありません。むしろ、現在の1回当たりの飲酒量を増やすことなく休肝日を設けて、総飲酒量を減らすべきでしょう。 今回の研究結果について、担当研究者である丸亀知美・国立がん研究センターがん情報・統計部研究員は、次のように話しています。 「この研究を含む多くの研究結果から、1日平均2合以上の多量飲酒は死亡のリスクが高くなるという結果が出ています。休肝日をもうけつつ、お酒はやはり1日平均で1合から2合程度にするほうがよいでしょう。休肝日は、総飲酒量を減らすという観点からも重要です。」

多目的コホートより その他の研究

適度な飲酒は、心筋梗塞のリスクを抑制するという結果は、主に欧米の疫学研究から多数報告されてきました。今回、多目的コホート研究で、日本人男性でも、お酒で顔が赤くなる・ならないに関わらず、飲酒による急性心筋梗塞の予防効果が確認されました。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
飲酒パターンと総死亡との関連について -概要- 
飲酒習慣と心筋梗塞の関連について -概要-

その他の研究班の進捗

「生活習慣改善によるがん予防法の開発と評価」 に、日本人における喫煙と胃がん、飲酒と肺がんの関連の評価の研究概要を掲載しました。

上に戻る