トップ >多目的コホート研究 >リサーチニュース >2007 リサーチニュース >2007/3/14 大腸がん検診受診と大腸がん死亡率との関係
リサーチニュース

JPHCに関するお問い合わせはこちら
 


 

多目的コホート研究のメールマガジン購読申込みはこちら

多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/3/14 大腸がん検診受診と大腸がん死亡率との関係

多目的コホート(JPHC)研究から、大腸がん検診の受診と、その後の大腸がんによる死亡との関係を調べた報告が論文発表されました。 (「キャンサー・ディテクション・アンド・プリベンション」2007年1-2月号)

前向きコホート研究で、大腸がん検診の有効性を検証

現在広く行われているがん検診のすべてについて、受診者で対象となるがんによる死亡率が減っていることが確認されているわけではありません。逐年の大腸がん検診(便潜血検査)については、厚生労働省の研究班から、これまでに実施された研究をまとめ、「死亡率減少効果を示す証拠がある」と評価されています。 (がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究班(主任研究者:国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 情報研究部長 祖父江友孝); 科学的根拠に基づくがん検診推進のページ)。  しかしながら、その根拠とされた疫学研究は、主に欧米で行われた無作為化比較試験や症例対照研究等であり、アジアからの一般住民を対象とした前向きコホート研究の結果はありませんでした。

大腸がん検診受診で、大腸がん死亡は予防できる

そこで、多目的コホート研究の一環として、40‐59歳の男女約4万人を13年間追跡したデータを用いて、便潜血検査の受診とその後の大腸がんによる死亡リスクとの間にどのような関連があるかを調べてみました。  すると、過去1年間に受診したことがあると答えたグループでは、受診したことがないと答えたグループに比べ、大腸がんによる死亡率が約7割低下していたことがわかりました。同じグループで、大腸がんを除いた全体の死亡率の低下は約3割に、がんによる死亡率の低下は約2割にとどまったことから、受診したことがあるグループはもともと健康意識の高いグループではあるけれども、やはり大腸がん検診受診による大腸がん死亡の予防効果があったと考えられます。  また、大腸がん発見時の進行度でみてみると、検診受診ありの人で、大腸がんが早期で発見される可能性が高くなり、逆に進行してから診断される危険性は半減していました。

研究結果について

今回の研究結果について、担当研究者である井上真奈美・国立がん研究センター予防研究部室長は、次のように話しています。 「この結果によって、これまでにわかっていた大腸がん検診の有効性が、さらに補強されることになりました。ただし、検診はあくまで、既にがんになったものを早く見つける手段です。大腸がん検診を受診するだけでよいのではなく、過体重と肥満を防ぎ、禁煙し、お酒や加工肉の大量摂取を控えるなど、大腸がんの一次予防を同時に実践して、そもそも大腸がんにならないように、努力していくことが大切です。」 詳しくは、概要版をご覧ください。

上に戻る