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多目的コホート研究(JPHC Study)

2007/2/27 ビタミンC摂取と老人性白内障発症

多目的コホート(JPHC)研究から、ビタミンC摂取と老人性白内障発症の関係を調べた結果が発表されました。(「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ニュートリション」2007年1月WEB先行公開) この研究の母体となる多目的コホート研究は1990年に開始されました。全国約 14万人を対象に食事を含む生活習慣要因などについて調査し、その後の長期追跡期間に観察されたがん、心筋梗塞等、糖尿病、白内障などとの関連を前向きに調べています。 今回の研究では、1995年の調査データをもとに45〜64歳までの男女約4万人をビタミンCの摂取量でグループ分けし、その5年後の調査で得られた自己申告に基づく白内障のリスクを比較しました。

白内障の発症

1995年時点で白内障を発症していなかった対象者35,186人のうち、その5年後の調査で、男性110人(0.67%)、女性187人(1.00%)が白内障の手術を受けたと回答しました。 対象者の一部に許可を得て過去の医療記録と照合したところ、白内障の手術については、自己申告による回答と医療記録が25名中25名(100%)一致していました。

ビタミンCの摂取量が多いほど、老人性白内障リスクが低く

ビタミンCの摂取量を男女ともにそれぞれ均等に5つのグループに分けて、その後5年間の老人性白内障の発症(手術の自己申告)との関係を解析しました。ビタミンCの摂取量が多くなるにつれて、リスクが低くなる傾向が見られ、ビタミンCの摂取量が最も多いグループの発症リスクは、最も少ないグループに比べ、男性では30%、女性では36%低くなっていました。

食事からのビタミンCで白内障リスクが低くなる理由

加齢による水晶体の混濁は、水晶体を構成する蛋白が酸化によるダメージを受けることが主な原因であると考えられています。食事から摂取されたビタミンCによって、眼組織のアスコルビン酸濃度が高くなり、このダメージを予防することが、実験で示されています。

研究結果について

今回の研究で解析を担当した吉田正雄・杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室助手によれば、欧米では、ビタミンCなどの抗酸化栄養素の摂取と老人性白内障発症率との関係について調査した追跡研究が多数存在しており、食事からのビタミンC摂取により老人性白内障の発症率が低下することが報告されていました。 しかし、これまでアジアの一般住民を対象に検討した大規模な追跡研究は行われていませんでした。 今回の研究の結果、日本人においても、食事からのビタミンCの摂取が老人性白内障の発症率を低下させる可能性があることが分かりました。ただし、サプリメントの使用を調べた前向き研究や、ビタミンC補給による無作為化比較試験では、必ずしも白内障予防効果が示されているわけではありません。 詳しくは、概要版をご覧ください。

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