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多目的コホート研究(JPHC Study)

2006/3/1 飲酒と自殺の関係

多目的コホート(JPHC)研究から、飲酒と自殺の関係を調べた結果が発表されました。(「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サイカイアトリー」2006年3月1日号)。

日本では近年自殺者の数が増加し、1998年以来年間3万人を超えていますが、犠牲者の多くは中年以降の男性です。自殺についても、がんなど国民の生活の質の低下や平均寿命前の死亡に直結する病気と同じように、生活習慣との関連を追及し、予防対策のための科学的根拠を得ることが期待されています。

習慣的に大量に飲む人、まったく飲まない人で自殺リスク高く

多目的コホート研究の一環として、40‐69歳の男性約4万人を7-10年追跡したデータを用いて、飲酒頻度・飲酒量とその後の自殺との間にどのような関連があるかを調べてみました。

追跡期間中に、168人の自殺が確認されました。習慣的な大量飲酒グループ(日本酒換算で1日当たり3合以上)の自殺リスクは、時々飲むグループ(月に1から3日)のの2.3倍になりました。定期的に飲む人の間では、飲酒量の多いグループほど自殺リスクが高くなる傾向がみられました。また、まったく飲まないグループでも、時々飲むグループより自殺のリスクが高くなっていました。

飲まないグループでもリスクが高くなる「U字型」の関連

習慣的な大量飲酒は自殺のリスク要因であることや、アルコール乱用者の間では自殺リスクが高いことが知られています。今回の研究でも、習慣的に大量飲酒をする人の自殺リスクが2倍以上高くなることがわかりました。

さらに、予想しなかった結果ですが、飲酒しない人のリスクも2.3倍と高くなりました。飲酒しない人のうち、飲んでいたが止めた人の自殺リスクは、時々飲む人の6.7倍と、特に高いことがわかりました。

飲酒と自殺の関連を調べた前向きコホート研究で、飲まないグループでもリスクが高くなる「U字型」の関連が示されたのは、初めてのことです。

なぜ飲酒しない中年以降の男性で時々飲む人よりも自殺リスクが高くなったのか、他の集団ではどうなのか、今後さらに詳しく研究し、原因を確認する必要があります。

飲酒習慣と健康について

この研究は、お酒を飲まない人が時々飲めば自殺リスクが低くなることを示すものではありません。

飲酒習慣とがん、脳卒中、何らかの原因による寿命前の死亡との関連を調べたこれまでの多目的コホート研究の結果からは、時々や少量の飲酒習慣ではいずれもリスクが高くなることはありませんでしたが、大量の飲酒習慣によってリスクが高くなることがわかっています。

他の病気との関連や、アルコール乱用の害を考えると、定期的にお酒を飲む人でも、1日あたり日本酒換算で1合、ビールなら大瓶1本程度以内にとどめたほうが良いでしょう。

詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。

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