多目的コホート研究(JPHC Study)
2012/4/27 食事からのカドミウム摂取量とがん罹患との関連について
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、食事からのカドミウム摂取量とがんリスクの関連を検討した研究の結果が発表されました。
この論文の状況と担当者は以下のとおりです。
Epidemiology 2012年23巻368-376ページ
食事からのカドミウム摂取量はがんのリスクと関連なし
国際がん研究機関(IARC)によると、動物実験やカドミウムを扱っている労働者(職業性曝露)またはカドミウム汚染地帯の住民の高濃度曝露データに基づき、カドミウムはヒトに対して発がん性のある物質(グループ1)と分類されています。
多目的コホート研究で、食事からのカドミウム摂取量とがん罹患との関連を検討しました。男性42032人、女性48351人、合計90383人が本研究の対象になり、約9年の追跡期間中に、男性3586人、女性2263人、合計5849人が何らかのがんに罹患しました。
米、小麦、大豆、野菜、果物の34食品に含まれるそれぞれのカドミウム量に、アンケートから計算された各食品の摂取量をかけて推計し、4群(部位別では3群)にグループ分けしてがんのリスクを比較しました。その結果、全がんリスクと、カドミウム摂取量の関連は見られませんでした。さらに、各部位別がんリスクについても調べたところ、男性の胃がんと膵がん、女性の腎がんと子宮体がんでリスクの上昇がみられましたが、統計学的有意な関連ではありませんでした。
今回の研究は大規模な研究ですが、部位別にわけると症例数が少なくなったため、はっきりとした関連は見られませんでした。今後もさらなる研究成果の蓄積が必要です。
詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。