多目的コホート研究(JPHC Study)
2008/7/10 身体活動量とがん
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、身体活動量とがんリスクとの関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 American Journal of Epidemiology 2008年7月WEB先行公開
身体活動量の多い人でがんの危険性が低い
これまでに、運動の健康影響を調べた疫学研究によって、死亡や循環器系疾患、いくつかの部位のがんへの運動の予防効果が示されています。しかしながら、その運動量は主に仕事や余暇の運動、あるいは歩行時間などによって評価されていて、総合的な身体活動量を採用した研究は少なく、ほとんどが欧米からの報告です。 ちなみに、多目的コホート研究からは、身体活動量と死亡の関係を調べた結果が今年6月に発表されています。・身体活動量と死亡との関連について —概要—
今回、多目的コホート研究で、45—74歳の男女性約8万人を対象に、生活習慣に関するアンケートで、普段の身体活動と、仕事や余暇の運動の状況を調べました。その回答から平均的な1日当たりの身体活動量(METs)を算出し、それによって4つのグループに分けました。約8年かけてがんの発生を追跡調査し、グループ間でそのリスクを比較しました。 追跡期間中に4334人に何らかのがんが確認されました。 男女とも、身体活動量が多いグループほど、全がんリスクが低いことがわかりました。4つのうち最も活動量が多いグループでは、最少グループに比べ、男性で0.87倍、女性で0.84倍でした。 その傾向は、男性よりも女性で、また高齢のグループや余暇の運動頻度の多いグループでよりはっきりしていました。また、追跡から3年目までに発生したがんを除いても同様でした。 臓器別には男性では結腸がん、肝がん、膵がんで、女性では胃がんで、身体活動量最大群で有意に罹患リスクが低下していました。
研究結果について
今回の研究では、全体的に身体活動量が多いことで、がんになるリスクが低下する傾向がみられました。日常生活の中でよく動く時間を増やしていくことが、がん予防につながると考えられます。 詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
・身体活動量とがん罹患との関連について —概要—