多目的コホート研究(JPHC Study)
2007/12/19 緑茶摂取と前立腺がん、胆石・肥満指数と胆道がん
JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、「緑茶摂取と前立腺がん」、「胆石・肥満指数と胆道がん」との関連を調べた結果が発表されました。 論文の状況は以下の通りです。 「緑茶摂取と前立腺がん」American Journal of Epidemiology WEB先行公開中 「胆石・肥満指数と胆道がん」Cancer Causes Control WEB先行公開中
緑茶をよく飲む男性で、進行前立腺がんリスク低下
JPHC研究参加者のうち、研究開始時(1990年、1993年)に40—69歳であった男性約5万人に、緑茶をとる日数や1日当たりの杯数についてお答えいただきました。 2004年までの追跡期間中に、404人に前立腺がんの発生が確認されました。そのうち114人は前立腺を超えて広がっている進行性、271人は前立腺内にとどまる限局性の前立腺がんでした(19人はどちらか不明)。 緑茶の摂取頻度と前立腺がんには関連が見られませんでした。前立腺がんを進行性と限局性で分けると、緑茶をよく飲むグループほど、進行前立腺がんのリスクが低く、1日5杯以上のグループでは、1杯未満のグループのほぼ半分でした。いっぽう、限局前立腺がんでは、関連はみられませんでした。 今回、前向き研究で、緑茶による進行前立腺がん予防の可能性が初めて示されたわけですが、その確認のためには、まだまだ多くの研究が必要です。
胆石の既往で胆道がんのリスクが高く
JPHC研究参加者のうち、研究開始時(1990年、1993年)に40—69歳であった男女約10万人から、胆石の既往や肥満指数などのデータを得ました。 2004年までの追跡期間中に、235人に胆道がんの発生が確認されました。そのうち93人は胆のうがん、142人は肝外胆管がんでした。 胆石の既往があるグループの胆道がんリスクは、既往のないグループに比べ、男性で2.5倍、女性で3.2倍でした。部位別には、胆のうがんとの関連が男性で特に強く(4.8倍)、また肝外胆管がんが女性で特に強い(4.4倍)ことがわかりました。 肥満指数は、胆道がん全体では関連が見られませんでしたが、肝外胆管がんに限ると、胆石の既往に関わらず、より肥満指数の高いグループでリスクが高くなるという関連が見られました。
研究結果について
詳しくは、概要版をご覧ください。
・緑茶飲用と前立腺がんとの関連について -概要-
・胆石症、肥満指数と胆道がんとの関連について -概要-