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現在までの成果

沖縄野菜摂取量と循環器疾患との関連について

―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―

 

私たちは、様々な生活習慣と脳卒中・虚血性心疾患、がんなどの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っております。平成7年(1995年)に沖縄県中部、平成10年(1998年)に沖縄県宮古の、合わせて2保健所(呼称は2019年現在)管内にお住まいだった45~74歳のうち、循環器疾患、がんの既往のない追跡可能な約1万6千人を対象として、沖縄野菜摂取量と循環器疾患との関連を調べた結果を専門誌で論文発表しましたのでご紹介します(Journal of epidemiology 2019年1月ウェブ先行公開)。

 

これまでの私たちの研究では、野菜果物摂取量や葉酸摂取量が循環器疾患に予防的であることを報告しています。

沖縄野菜には比較的多くの葉酸が含まれていることから、循環器疾患(脳卒中および虚血性心疾患)の予防に有効であることが想定されますが、日本人において、沖縄野菜摂取量と循環器疾患発症との関係について、これまでに大規模な追跡研究で検討されてきませんでした。そこで、私たちは、沖縄県在住の日本人16,498人(男性7,726人・女性8,772人)における沖縄野菜摂取量と循環器疾患との関連を調べました。本研究では、138項目の食物摂取頻度質問票(FFQ)の回答を用い、7項目の沖縄野菜(チンゲン菜、からし菜、にがうり、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤ)より沖縄野菜摂取量を推定し、その摂取量によって3つのグループに分けました。その後、沖縄野菜摂取量が一番少なかったグループを基準とし、その他のグループの循環器疾患リスクとの関連を検討しました。 

 

沖縄野菜摂取量と循環器疾患のリスクには関連がみられなかった

約13年の追跡期間中に、839人の脳卒中(脳出血291人および脳梗塞486人)と、197人の虚血性心疾患の発症を確認しました。沖縄野菜摂取量は、追跡開始時のアンケートによる食物摂取頻度調査から推計し、摂取量を少ないグループから低値グループ(T1)、中間グループ(T2)、高値グループ(T3)に分類し、低値グループ(T1)の発症率を基準とした他のグループの循環器疾患(脳卒中および虚血性心疾患)発症率を比較検討しました。 沖縄野菜摂取量と全循環器疾患、脳卒中、脳出血、脳梗塞および虚血性心疾患の発症リスクとの間に、統計学的に有意な関連性は認められませんでした(図1)。また、個別の沖縄野菜と循環器疾患との関連についても、統計学的に有意な関連性は認められませんでした。

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この研究結果よりみえてきたこと

本研究の結果から、沖縄野菜摂取は循環器疾患リスクと関連しないことが示されました。本研究は、大規模な追跡研究において沖縄野菜摂取量と循環器疾患との関連を検討した世界的にも初めての研究です。統計学的に有意な関連がみられなかった理由の詳細は明確でありませんが、摂取量の一番少ないグループでも、比較的、沖縄野菜摂取量が多かったため、グループ間の差が見えにくくなったことが原因の一つとして考えられます。さらに、今回の研究では、対象とした集団は沖縄県在住者に限定しており、循環器疾患の症例数が多くはなかったために、統計学的に有意な関連性がみられなかった可能性も考えられます。
一方、沖縄野菜の摂取量は、チンゲン菜、からし菜、にがうり、フダンソウ、ヘチマ、ヨモギ、パパイヤの7項目から総沖縄野菜摂取量を推定しましたが、摂取量の評価において妥当性が十分に高いというわけではありませんでした。これら7項目以外にも、沖縄野菜と呼ばれる野菜は存在するため、他の沖縄野菜も含めた検討が必要であると考えられます。特に、最近では、沖縄県以外でも沖縄野菜を摂取する機会があるため、沖縄県以外の方も対象とすることで、循環器疾患の症例数も多く得られ、異なる結果が得られる可能性があります。

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